戦争と平和とは。
ロシアの作家L.トルストイの長編小説。1863~69年発表、4編とエピローグからなる。ナポレオン軍が近づきつつあった05年から、ナポレオン戦争の時代を通じて多数の登場人物の愛と苦悩を描いた、世界文学史に残る作品。
ブリタニカ国際大百科事典
構成
4編とエピローグからなる、とあります。
僕の持っている戦争と平和の書籍は、1984年8月16日改版第1刷発行の岩波文庫版です。全4冊で、訳者は米川正夫氏です。恐らく廃版になっております。今の岩波文庫版戦争と平和は全6冊で訳者も違います。更に昔は全8冊だった時代もあったようです。
4編がそれぞれ第1部、第2部、第3部、第4部となっています。だから、全4冊の場合はそれぞれ一冊ずつが当てられおり、4冊目が第4部+エピローグになっています。新潮文庫も全4冊ですので、おそらく同じ構成でしょう。
その一冊目、すなわち第1部は、更に第1篇、第2篇、第3篇に分かれています。更にその第1篇に細かく番号が振ってあり、1~25まであります。それを節と呼ぶなら、第1篇は25節、第2篇は21節、第3篇は19節あります。節を最小単位とするなら、一冊目(第1部)は、65節あります。ちなみに一冊目は内容だけだと555ページあります。
二冊目以降ははしょりますが、二冊目(第2部)は98節で604ページ、三冊目(第3部)は96節で608ページ、四冊目(第4部・エピローグ)は102節で522ページです。エピローグも第1篇、第2篇に分かれています。ただしエピローグ第2篇は物語ではないので読まないというか、仮に読むとしてもカウントしません。
まとめると戦争と平和全4冊は、エピローグ第2篇を除き、全349節からなり、合計2224ページあるということです。
読み方。読書計画。
計画と言っても1日5ページ前後を毎日読む。それだけです。
1日5ページ前後を毎日読のですが、そのときの区切りが、合計で349あった節になります。だから、1日1節よめば約1年で読み終わります。しかし、そのひと節が長い場合は、それを2、3回に分けて、言い換えると2、3日に分けて読むので1年半ぐらいかけて読みます。
なぜ、読むのか?世界的名作を読む理由。
読まなければならない理由、そんなものはないでしょう。触れることなく一生を終える人は、読書好きな人たちの中にもたくさんいると思います。
しかし、読んだ方がいい理由はあります。それはこの戦争と平和が、人類史上燦然と輝く、、文学史に残る最高傑作だからです。「文学における最も優れた作品を一つ選んでください。」というアンケートをとったならおそらく1位になるとおもいます。・・・まあ1位とまでいかなくても少なくともベスト5には入るでしょう。(因みに僕の1位は「赤毛のアン」ですが。)
だったら一度読んでみようと思う人がいる一方で、しかし、それがかえって敬遠される理由にもなりえます。
歴史的名作はおもしろいと同時に命を有する。
歴史の中で残ってきたということは、多くの人による時間的淘汰を経てきたということです。
一つにはそれが作品として読んでおもしろいからです。食品にしてもそれがおいしくなければ、わずかな人たちの評価しか得られず、その製品は消えていきます。具体的な例は今思いつきませんが。
もう一つの理由は、それが命をもった作品であるということです。それゆえに、過去の多くの人々がその作品を自分たちにとって大切なもの、重要なものとして残した結果、それが歴史的名作となります。
そして、おもしろいということと、命をもっていることとの間には密接な関係があります。あるいは、同じ事なのかもしれません。
作品に命がある、その物語世界に命があるということ。
宮崎駿監督の千と千尋の神隠しというアニメーション映画があります。映画の観客、あるいはテレビで観る場合その視聴者は何を見ているのかというと、宮崎駿の持っている世界を見ているのです。その世界をアニメーションという手段によって視覚化され再現されたものを見ているのです。
主人公千が別世界に入り込み、そこにある油屋という湯屋で裏方として働くことになります。
そこでよくわからない世界がよくわからないまま再現されているのを見てそれが楽しいのです。
心理学的にこの登場人物(?)は人間心理の何々を表しているとか、このシーンは人間精神の何々の現れであるとか、もっともらしい解釈をしようとすればいくらでもできるでしょう。
しかし、多くの宮崎駿ファンは、そんなこじつけられた説明など必要としていません。ただ、わけのわからない世界をわけのわからないまま楽しんでいるのです。
その世界にはまた多くのものたちがいて、例えば湯屋、温泉宿の裏方として働いています。更に妖しげな者たちがこの油屋にやってきます。
その世界の中のストーリー性をもった部分を切り取ってアニメ作品として、提供しているのです。
仮に宮崎駿監督が自身のうちで描いた世界が、そのままアニメーションになるという技術があるとします。その技術を用いれば、多くの情景や登場人物を描きだすことができるでしょう。そしてそれを例えばyoutubeなどで配信するなら、少なくとも何百万という人たちがそれを視聴するでしょう。
戦争と平和を読んだことのある人より、千と千尋を見たことのある人の方が圧倒的に多いという事実を踏まえ、また分かりやすいという理由から、宮崎駿監督のアニメーション作品を例にあげましたが、思いのほか長くなりました。
要するに、何が言いたいのかというと、まず世界があり、その一部を切り取ってアニメ、あるいは小説として世に出されている作品には命があるということです。
その命をより良く汲み取るためには、読者側にも工夫が必要です。
惰性で読み進めること、惰性で読み過ぎることを防ぐ必要です。
再読のすすめ。
僕にとって読書とは、命のある作品からその命を受け取ることです。
だから、その読み方は当然命を受け入れる読み方である必要があります。
物語世界を持つ作品に触れて、その物語世界の息吹を呼吸するのです。
初めて読む本というのは、先がどうなるのか、例えば主人公がどうなったのか早く知りたくなります。そのために途中で読むのを止めるのは難しいものです。
ですから僕は、読み過ぎを防ぐためにも再読を奨励します。
最早ストーリーは分かっているので先を急ぐ必要はありません。自ら決めたペースで進められます。また、その再読しようと思う本は、自分にとって大切な本、意味のある本、おもしろいと思える本、自分に合う本であります。
その本と長く向き合っていたいと思うので、時間をかけて読むことが容易に実現可能となるのです。(実際のところ惰性の力は強いのですが。)
7冊同時進行読書
1日5ページ前後しか読まないので、1日の読書する時間は10分ぐらいです。それでは1日の読書時間があまりにも少な過ぎます。かといって同じ本を時間を開けて読むことにするなら、やはり読み過ぎる危険があります。
そこで、何冊かを同時進行で読むことにしました。特に並列で読むことになんらかの価値を見いだした訳ではありません。また7という数値もだいたい読書時間は1日90分ぐらいかな、というところからきています。
[…] 1週目。【2019.10.27~11.2】トルストイ作【戦争と平和】 […]