小野不由美の十二国記の新作が18年ぶりに出ました。【白銀の墟 玄の月】です。
このブログは、タイトルの「7冊同時進行読書」の通り、7冊の本を並列に同時進行で読んでいきます。今後読書予定候補の小説が、100ぐらいあります。(例えば、この【白銀の墟 玄の月】は全4冊で、書籍としては”4”ですが、作品として”1”とカウントします。)
その読書予定の小説の作家のうち、生きていて、小説家として執筆活動しているのは小野不由美氏だけです。
現役作家の新作を読むことは、僕にとってとても稀有なことです。
新作【白銀の墟 玄の月】の前の話が【風の海 迷宮の岸】【黄昏の岸 暁の空】なので、読み返しました。もっと、主人公である泰麒の苦難の様が、克明に描かれていた記憶があったのですが、読んでみるとそうでもありませんでした。思い入れから来る記憶違いでしょうか。……イヤもっと具体的な描写が確かあったはず……。まあ、いいです。スミマセン。
その話はどうも【黄昏の岸 暁の空】にあったようです。
十二国記に魅かれる理由。その1。世界としての広がり。
どんな作品を好み、探していたか。
小説を読んでいくうち、その小説の物語世界が自分の中に、果てしなく広がっていくのを強く感じられる作品があります。
僕の読書の目的は、小説に限ってですが、その物語世界を感じ、受け入れ、その世界からくる力を受けることです。
若い時と年取った今。
若い頃は、多読・乱読していました。上記のような作品を探すためです。しかし、いわゆる歴史的世界的名作と呼ばれる小説の中に、心が広やかになるような作品が多く見つかるため、いきおい一般的にそう呼ばれる作品を読むことが増えていきました。今の作家を否定しているわけでは決してないのですが、歴史という、自動で取捨選択してくれるフィルターを当然のことですが、自分で掛けることはできないのです。
その後、小説はあまり読まなくなりました。たまに、今まで読んだものを再読するぐらいで、現役作家の新作は全く読んでいませんでした。年取った今はなおさらそうです。
そして、若い頃は、「この作品、いまいちだな」と思いながらも、最後まで一応読んでいました。というのも、いいにつけ悪いにつけ、それについて何かを言おうとするなら、最後まで読むことが、最低の礼儀だと思ったからです。
ところが、年老いた今となっては、そんな気力も体力もありません。おもしろくなければ直ぐやめます。礼儀知らずに成り下がりました。
また、よくわからない内容でも読み進めているうち、だんだん理解できてくるということも多々あったのですが、今は先へ進むのが困難です。途中で挫折している本が何冊かあります。
そして、自分にとっては、未知の新たな作家を見つけようという、気概も経済的余裕もない状態です。もっとも、経済力に関しては図書館に行けば解決するので、ただの言い訳ですが。
最新刊を読むということ。
十二国記との出会いは記憶にありません。本屋でたまたま手に取って、そして購入したのだと思います。そのころには、【丕緒の鳥】以前の作品は出そろっていて、アニメは再放送がながれていました。最初に読んだのは【月の影 影の海】でした。作者も認めていますが、「重いし暗いなあ。」という感想でした。もちろんおもしろかったので十二国記シリーズは全作読みました。また、再読する予定です。
このブログを始めたのは2019年10月27日です。それに近いタイミングで最新刊の【白銀の墟 玄の月】が刊行されたので読んでいくのですが、新作が出なかったら、【図南の翼】を読んでいたと思います。
そして、ブログタイトルでもある7冊の同時進行読書は、実のところ新刊には大変不向きなのです。7冊の本を同時に少しずつ読むという、この少しずつというところがネックです。先に進みたくなるので、止めることが難しく、正直成功(僕にとっての成功ですが。)することはまれです。上手くいったなら、このブログの力もあるでしょう。
以前、途中放棄した中華風SFについて。
以前、中国風の可愛いイラストの表紙に惹かれてある欧米の方が書かれたSF作品を購読しました。その内容が、いかにも、欧米の人が抱いた古代の中国のイメージだけで書かれていたので、受け入れられませんでした。おそらく中国の方はもちろんのこと、むかしの中国の小説を読んだことのある多くの日本人にはかなりキツイと思われます。
それが夢の話ならいいのです。そうでないなら、どこかに、欧米の人達の古の中国に対する平均的なイメージを具現化した世界が在る、ということになります。
最初の数ページは、まあ違う意味で面白いのですが、その世界でのできごと、主人公や他の登場人物たちの活躍に興味がもてるかというと、僕には無理でした。
夢なら成立します。あるいは、夢が現実的になるという設定、もしくはその上で、現実世界とは別に異世界・平行世界として存在するというのなら無理がないと思います。
ただ、欧米人の中国を中心としたアジア風のイメージだけで走られても……。ただ、なんでもありと言えばありなので、僕の想像力の欠如という事にして置きます。
この十二国記も中国のイメージが強いですが、中国の方はどう思っているのでしょうか。
構成、読書計画。
構成は極めてシンプルです。全4冊で、1冊目が第一巻、六章あります。2冊目は第二巻、七章から十二章までとこんな感じです。サブタイトルとかはいっさいありません。いさぎいいです。
1冊400ページぐらいで、4冊で1600ページです。1日5~10ページとして、だいたい、7か月ぐらいで読んでいきます。いつものことながら我ながら気が長いですね。ただこの作品は新作ということで、僕の読書法にとっては手強い相手です。
構成のシンプルさもさることながら、十二国の地形も幾何学的でシンプルです。シンメトリーだし、なにかの紋様みたいですね。十二国、それぞれの国の社会の現状も、シンプルで整然としていればいいものの、そこはドロドロだったりします。まあ、それがおもしろいのですが。
十二国記、他の作品。
十二国記シリーズとしては、いまのところ短編集も含め全10作品あります。もっとも、作者自身は、十二国記という言い方は当初していなかったみたいです。しかし、書籍の表紙には記載されているので、出版社のさしがねでしょうか、作者ももう受け入れているのでしょうか。
- 魔性の子
- 月の影 影の海
- 風の海 迷宮の岸
- 東の海神 西の蒼海
- 風の万里 黎明の空
- 丕緒の鳥
- 図南の翼
- 華胥の幽夢
- 黄昏の岸 暁の空
- 白銀の墟 玄の月
この中で特に新作と関連が深いのが、【風の海 迷宮の岸】と【黄昏の岸 暁の空】です。【魔性の子】もそうなのですが、他の作品がファンタジーという位置づけなのに対してホラーであること、他の作品が十二国という異世界が舞台なのに対して、現実世界の話であることからかなり異質です。
また、この十二国記シリーズには、通し番号が付けられていることがあります。もちろん1番は【月の影 影の海】なのですが、【魔性の子】は0番ということになっています。
ちなみに、この”0”を番号として付けるのは、プロ野球選手の背番号などにも見受けられますが、僕は、オーストリアの作曲家ブルックナーの交響曲第0番が走りだと思っています。
交響曲第1番よりも前の作品があったということで、それが交響曲第0番となりました。
それから、この十二国記のタイトルはどうも憶えることができません。【○○の○○ ○○の○○】のパターンのものです。憶えたつもりでも咄嗟に出てきません。ファンなら憶える努力をすべきなのでしょうか。
十二国記に魅かれる理由。その2。妖獣と妖魔。
妖獣と妖魔について書きたっかのですが、ここまで長くなりすぎたので、日とページを改めます。
[…] 4週目。【2019.11.17~11.23】✙ 小野不由美作【白銀の墟玄 玄の月(十二国記)】 […]