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【竹取物語】を読みます。SFファンタジーっぽくもあり、ゲームっぽくもある。

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仮名文字による現存最古の物語、【竹取物語】を読みます。



竹取物語(たけとりものがたり)とは

平安前期の物語。作者・成立年代とも未詳。竹取の翁(おきな)が竹の中から見つけて育てたかぐや姫が、五人の貴公子の求婚をしりぞけ、時の帝(みかど)の求婚にも応じず、ついに陰暦八月十五日の夜、天人の迎えを受けて月の世界に帰るという物語。

旺文社 全訳古語辞典

竹取物語 (岩波文庫) [ 阪倉篤義 ]

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日本最古ともいえる物語が、SFファンタジーぽいのはおもしろいところです。

とにかく、このかぐや姫の存在が素晴らしく異質です。

かぐや姫の出現と成長

まずお馴染みの竹から生まれたというか、現われたところから始まります。

( ちなみに、原文に竹を切る描写はありません。)

その後、三寸だったかぐや姫は、ほぼ三ケ月で成人女性となり、美貌は絶世となります。しかし、精神的には幼さというか、あどけなさがかなり強く残っていて、そこがまた魅力でもあります。

世にまたとない稀有な美貌。

家にいれば、暗いところは無いまでに、光に満ち溢れる。

見ていれば、苦しみも治まり、怒りも慰められる。

もはや、この子さえいれば他に何もいらないというレベルです。

既成の価値観。翁のかぐや姫への結婚の推奨。

にもかかわらず、翁夫婦はかぐや姫の結婚に異様なまでにこだわるのです。

結婚後も一緒に暮らすつもりだったとして、別れを前提にしていなかったとしても、結婚を勧める動機がよくわかりません。

年頃になれば結婚は当然で、そうしないのは世の女性としてはおかしい、という趣旨のことを言うのですが、なぜ、一般な娘と同様に考えているのでしょうか。どうやって現われてきたのか忘れてしまったのでしょうか。

その説得のとき、翁はかぐや姫を変化(へんげ)の人と言っているのに関わらずにです。

今では変化=化け物という感じですが、当時のニュアンスは違うのかなとは思いますが、少なくともこの世の者ではないという認識はあったと思います。

70歳での耄碌でしょうか、そのあと帝からの爵位を与えるとの話に乗り気だったりするのですが、あまりにかぐや姫の価値との釣り合いが取れません。

かぐや姫自身は自分の価値を認めていなかったふしがあります。

しかし、身近にいるものなら、赤文字で上述したことの並々ならぬことが分かりそうなものですが。

物語冒頭でかぐや姫が現れ、すぐに(3ページ目)5人の貴公子の求婚の話に移行します。

僕としては、かぐや姫の成長(といっても、三ケ月で一気に成長しますが)並びに、かぐや姫との生活、その自身から発する光によって引き起こされるであろういろいろな事例など、それこそ千ページぐらい読んでいたいところです。

聖書に比していうなら、聖書は旧約聖書、新約聖書合わせて約2千ページあります。

冒頭に天地創造があり、その後人が創られ、エデン(楽園)から追放されます。

その追放が5ページ目のことで、後の2千ページは追放されている状態での話なのです。

僕としては、【竹取物語】と同様に、そのエデンでの話(動物や植物やそこでの情景など)を延々読んでいたいのです。

5人の貴公子たちの求婚 ゲームっぽい展開

自分でゲームをプレイすることは全くなく、たまにyoutubeでゲーム配信を見る程度で、あくまで印象に過ぎませんが、ここからの【竹取物語】の展開はゲームのようだと思いました。

中核、中堅キャラである5人の貴公子を敵として倒すのではないけれど、排除する感じです。



 

5人の求婚者 5人の中堅キャラ

1.石つくりの御子

2.くらもちの皇子

3.右大臣あべのみむらじ

4.大納言大伴のみゆき

5.中納言いそのかみのまろたり

1.石つくりの皇子

  • 要求品名
    佛の御石の鉢。
  • 要求品について

    西域に仏鉢有り。今猶存す。其色青紺にして光れり
    水経注

  • 対処
    天竺にある宝を手に入れることは不可能だと考えます。そこで、山寺にあった古びた鉢をそれらしく錦の袋に入れて、3年後にかぐや姫のもとへ持参します。
  • てん末
    光る鉢だといっているのに、もとより光るはずもなく、偽物であることはすぐに判明します。その後、歌(和歌)を送るのですが、かぐや姫に完全に無視されます。

2.くらもちの皇子

  • 要求品名
    蓬莱の玉の枝。
  • 要求品について
    東の海に仙人の住む蓬莱という島があり、そこに銀(しろがね)を根とし、金(こがね)を茎とし、白き實を結ぶ木があります。
  • 対処
    「玉の枝を取りにいきます。」と言い船出しますが、三日後に舞い戻ります。匠なる鍛冶職人を6名雇い、隠れ家を作り、そこで蓬莱の玉の枝を制作させます。完成後、旅装束に疲れ切った様を装い、かぐや姫のもとに製作品を持参します。そこでさらに、難航した旅の話をまことしやかに語ります。
  • てん末
    精巧に作られていたこともあり、翁、かぐや姫共にまさしく蓬莱の玉の枝だと思ってしまいます。そこに件の職人たちが「支払いお願いします。」とやってきて、ぶち壊しになり、もともと嫁に行く気のないかぐや姫は笑って喜びます。

3.右大臣あべのみむらじ

  • 要求品名
    火鼠の皮衣。
  • 要求品について
    唐土にある。

     火鼠。其毛を取り織りて布と為す。もしけがるれば火を以て之を焼き、更に清潔ならしむ

    神異記

  • 対処
    基本裕福なので、金で解決を図ります。
    まず、唐にいる”わうけい”という知人に手紙を送り問い合わせます。
    天竺の僧が唐に持ち込んだ物があるが、金が足りないとの返事に、即座に送金、その皮衣を手に入れます。
  • てん末
    火鼠の皮衣ならば、火でも焼けないはずだとかぐや姫が言うので試してみると、いともあっさりとめらめらと燃えてしまいました。大臣はそれを見て青くなり、かぐや姫は「あな、嬉し」と喜びました。《 笑ったり、嬉しいと言って喜んだり、かぐや姫には子どもっぽい印象を抱いてしまいます。竹の中から現れて三か月後には成人女性にまで成長したわけですが、それは外見だけのようです。その後、はっきりとはわかりませんが何年かは経過はしてはます。(翁は竹を取ることが長年にわたった。)けれど、かぐや姫は精神的な成長とは無縁で、あどけなさは強く残っていたのではないでしょうか。

4.大納言大伴のみゆき

  • 要求品名
    竜の頸の五色に光る珠。
  • 要求品について
    竜の頸にある。
  • 対処
    まず、家来達にとって来いと命じます。
    食糧の準備、費用、さらには自邸にある絹などあらゆるものを与え、自身は精進潔斎をして家来達のもたらす朗報を待ちます。
    家来達は貰うものは貰うのですが、当然竜を探しに行ったりはしません。
    主を裏切っているというか、そうせざるを得ない状況に持っていかれている感じです。(竜の珠を手に入れるまでは帰ってくるな)だから、家来達がずる賢いというよりも、主の大納言が馬鹿正直に思えます。
  • てん末
    成功を疑わず妻妾たちを追い出し、邸宅も建て煌びやかに飾り付けました。
    しかし、待てど暮らせど家来たちが帰ってくるばずもなく、しびれを切らした大納言は、ついに自らが竜の頸の珠の獲得に乗り出します。
    船出はしたものの海は荒れ狂い、それがまさに竜の力の現われであると船頭に言われ、恐れおののいた大納言は、命乞いのため天の竜に祈禱します。
    なんとか一命はとりとめたものの、腹が膨れ、目もスモモ大に腫れ上がるという悲惨な有り様になってしまいます。

5.中納言いそのかみのまろたり

  • 要求品名
    燕の持っている子安貝。
  • 要求品について
    二、三寸の黒褐色で斑紋のある貝。タカラガイ。
    安産のお守りにする。
  • 対処
    燕の巣にあるだろうと家来たちを派遣するも吉報は無く、お前たちのやり様が悪いのだと、自ら荒籠に乗り、吊り上げられて燕の巣に向かいました。
  • てん末
    手を差し入れた燕の巣には確かに手応えがあり、即座に籠を降ろしてくれと、家来たちに命じます。
    焦った為に綱は切れてしまい、鼎の上に落ち腰を強打、手を開いて見ると燕のふんが握られていました。
    その後、羞恥を伴った心労も重なり、帰らぬ人となってしまいます。

    これを聞きて、かぐや姫、少しあわれと思しけり

かぐや姫にしては珍しい感じです。

帝の登場

5人の求婚を退けた後、帝より宮仕えを所望されるも拒否します。

その後、帝は翁邸に鷹狩りにかこつけて訪れ、かぐや姫を強引に連れて行こうとしますが、かぐや姫は影と化して姿を眩ませてしまいます。

その後、帝とかぐや姫は文(ふみ)を交わし合うのですが、文通においては、仲良くいい感じです。

かぐや姫の月への帰還

かぐや姫は自分が月の住人であることを告白します。

翁からその事を聞いた帝は、かぐや姫の帰還を阻止しようと2千の兵士に守らせます。

しかし、月からの使者たちに対してはどうこうできうるレベルというか次元ではなく、かぐや姫は昇天していきました。

月からの使者の登場により、夜の0時にもかかわらず辺りは圧倒的な光につつまれ、使者は地面より1.5m浮いた状態で立ち並んでいるのですから、ただただ呆然と見守るしかないというのもむべなるかなというところです。

天の羽衣

天の羽衣は、それを着ると思い煩うことが無くなるというアイテムです。

別れを告げた後、かぐや姫はそれを身にまとい、月からの使者である天人たちと早々に帰っていきます。

翁たちに対しての記憶が無くなるのか、思い入れが無くなるのか、合理的であり、かつ残酷なアイテムではあります。

置き土産として、この天の羽衣と不死の薬をかぐや姫は翁に残していきます。

この薬は、そもそも地上生活の穢れにより弱っているだろうかぐや姫のために用意されたものでした。

かぐや姫の帰還を受けて、翁と媼は血の涙を流し悲しむのですが、その天の羽衣を着ることも、不死の薬を飲むこともありませんでした。

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